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電気通信事業者として届出しました

February 23, 2018

昨日総合通信局さんから郵便が届き、 Tamago Gadget は届出電気通信事業者として認可を受けました。
認可を受けるにあたって行ったことや、注意するべき点などをまとめてみようと思います。これから届出を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

  1. 電気通信事業の要件

本当に届出が必要かどうかを確認するために、まずは「電気通信事業」の要件を確認してみましょう。
総務省の「電気通信事業参入マニュアル [追補版]」 リンク を参照に、以下では話を進めていきます。

「電気通信事業」の要件は以下の通りになります。

  • 他人の通信を媒介する

「電気通信設備を用いて「他人の通信を媒介する」とは、他人の依頼を受けて、情報をその内容を変更することなく、伝送・交換し、隔地者間の通信を取次、又は仲介してそれを完成させることをいう。」
ユーザー A とユーザー B がいるとすると、ユーザー A がユーザー B に対して送ったメッセージを、そのままユーザー B に対して伝送することをいいます。

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  • 他人の通信の用に供する

「広く電気通信設備(光ファイバ、携帯電話の基地局等の電気通信回線設備のほか、サーバや端末機器等を含む。)を他人の通信のために運用することをいう。」
自己のみならず、電気通信設備を他人の通信のために提供することをいいます。
なお、「「他人の通信」には、自己と他人との間の通信も含まれており、例えば、企業等が自ら運用するサーバ等の電気通信設備を用いて利用者との間で通信を行う場合についても、当該企業等は電気通信設備を他人の通信の用に供していることになる。」
とあるため、自己と他人の間で通信をする場合においても、「電気通信設備を他人の通信の用に供していること」になります。

  • 他人の需要に応ずるために提供する

「自らの業務のために電気通信役務を提供するのではなく、他人の需要に応ずるために電気通信役務を提供することをいう。」
他人の需要があることから、自己の所有する電気通信設備を用いてサービスを提供することをいいます。
なお、「ある者が自らの業務の遂行に当たって又はそれに付随して電気通信設備を業務上の関係を有する他人との通信の用に供することは、自己の需要に応ずるものと判断され、基本的には、これに当たらない。」
とあるため、自己の需要を満たすためだけに電気通信設備を利用し、利用上他人との通信が発生する場合に置いては該当しません。

Mastodon 等の分散 SNS においては、以下のように見れば良いでしょう。

  • 自己を除いて他にユーザーが存在する場合、「他人の通信を媒介する」と考えて良い
  • Mastodon サーバーの運営上、必ず他サーバーとの通信が発生するため「他人の通信の用に供する」と考えて良い
  • おひとりさまサーバーについては自己の需要を満たすためのものであるから、「他人の需要に応ずるために提供する」ことには該当しない

これら全ての要件に該当する場合は「電気通信事業」となります。

  1. 届出が必要な電気通信事業の要件

Mastodon サーバーの運営が電気通信事業に当たる場合、それが「届出が必要な電気通信事業」か、「届出が不要な電気通信事業」か判断する必要が有ります。
これも要件がありますので、確認していきましょう。

  • 専ら一の者に電気通信役務を提供する電気通信事業に該当するか?

電気通信役務(サービスと考えてください)を提供する相手が1人または1社の場合はこれに該当します。

  • その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)又は同一の建物内である電気通信設備その他総務省令で定める基準(設置する線路のこう長の総延長が5km)に満たない規模の電気通信設備により電気通信役務を提供する電気通信事業に該当するか?

長い文章ですが、要は「同一の建物の中、もしくは5km以内でのみ電気通信役務を提供するか?」ということです。
ユーザーは様々な場所に存在しますし、提供先は全国になりますので、基本的に該当しないと考えてよいでしょう。

  • 電気通信設備を用いて他人の通信を媒介する電気通信役務以外の電気通信役務(ドメイン名電気通信役務を除く。)を電気通信回線設備を設置することなく提供する電気通信事業に該当するか?

複数ユーザーが存在し、「インターネット経由で不特定多数の利用者が文字情報等を交換することができる「場」を提供する」のみならず、特定のユーザー間の通信(ダイレクトメッセージ)を媒介するため、基本的に該当しないと考えてよいでしょう。

  • 「電気通信事業を営む」ことに該当するか?

「電気通信事業を営む」とは、「利用者に対して、電気通信役務を反復継続して提供して、その対価として料金を徴収することにより電気通信事業自体で収益を得ようとすること」をいいます。
ここで重要なのが、「現実に利益が上がるか否かは要件とはならない」ということです。つまり、「儲かっていなくても料金を徴収していれば「電気通信事業を営む」ことに該当する」というわけです。
総合通信局さんにお伺いしたところ、「ユーザーからの寄付金を電気通信事業の運営費として充てる場合、これは「電気通信事業を営む」とみなすことができる」とのことでした。
そのため、ユーザーからの寄付により Mastodon サーバーを運営する場合は「電気通信事業を営む」ことに当たる場合が多いです。

Mastodon 等の分散 SNS においては、以下のように見れば良いでしょう。

  • 自己以外にユーザーが存在する場合、「専ら一の者に電気通信役務を提供する電気通信事業」には該当しない。
  • インターネットを経由して電気通信役務を提供する場合、提供範囲は全国になるため「電気通信設備を用いて他人の通信を媒介する電気通信役務以外の電気通信役務(ドメイン名電気通信役務を除く。)を電気通信回線設備を設置することなく提供する電気通信事業」に該当しない。
  • Mastodon にはダイレクトメッセージ機能があり、「他人の通信を媒介する電気通信役務」に当たるため、「電気通信設備を用いて他人の通信を媒介する電気通信役務以外の電気通信役務(ドメイン名電気通信役務を除く。)を電気通信回線設備を設置することなく提供する電気通信事業」には該当しない。
  • ユーザーから寄付を受けて Mastodon サーバーを運営している場合、「電気通信事業を営む」ことに該当する場合が多い。

つまり、

  • 専ら一の者に電気通信役務を提供する電気通信事業
  • その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)又は同一の建物内である電気通信設備その他総務省令で定める基準(設置する線路のこう長の総延長が5km)に満たない規模の電気通信設備により電気通信役務を提供する電気通信事業
  • 電気通信設備を用いて他人の通信を媒介する電気通信役務以外の電気通信役務(ドメイン名電気通信役務を除く。)を電気通信回線設備を設置することなく提供する電気通信事業

以上3つに該当せず、「電気通信事業を営む」ことに該当する場合は「届出が必要な電気通信事業」になります。

  1. 電気通信事業者として届出するには?

第1項の「電気通信事業」の要件、そして第2項の「届出が必要な電気通信事業」の要件をすべて満たす場合、電気通信事業者として届出が必要になります。
電気通信事業者としての届出に必要な書類は以下の通りです。

  • 電気通信事業届出書
  • 提供する役務に関する書類
  • ネットワーク構成図
  • 住民票

まず「電気通信事業届出書」についてですが、以下の記入例に従って記入してください。

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次に「提供する役務に関する書類」は「28 インターネット関連サービス(IP電話を除く。)」の欄に○を付け、欄に入るように「ミニブログサービス」と記入してください。

次に「ネットワーク構成図」です。これは当方が記入した例をお見せします。
サーバーを自己調達している場合は台数を、レンタルの場合は調達先を記載してください。それぞれのサーバー設置状況に応じて書き換えてください。

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「住民票」は「世帯一部」のものを取得してください。「本籍」及び「続柄」については不要と思われます。

以上の書類と返信用の角型2号封筒に120円切手を貼り付けたものを角型2号封筒に入れ、管轄の総合通信局、もしくは総務省に送付してください。
僕は送付時に簡易書留を利用しました。普通郵便でも構いませんが、追跡がついている分届いたかどうかが確認できるため、簡易書留で送付したほうが安心できると思います。

  1. 送付後のこと

郵便が総合通信局に到着してから、書類が適切かどうかの審査が行われます。
書類が適切であれば、電気通信事業届出書が有効な届出として受理された旨が記載された、受理通知が返信用封筒で返送されてきます。
これが返送されてきた時点で届出電気通信事業者として認可されたこととなり、寄付や利用料金を徴収してもコラコラされなくなります。

ただし、電気通信事業者として以下の義務が課せられます。

  • 検閲の禁止(通信内容の検閲禁止)、通信の秘密の保護(安全な環境の構築)、利用の公平(不必要な利用制限を課さない)
  • 変更登録、届出事項の変更、事業の継承、事業の休廃止、電気通信役務等の変更報告
  • 事業の休廃止に係る周知、提供条件の説明、苦情等の処理
  • 業務の一部停止、通信の秘密の漏えいその他重大な事故の報告

特に 「通信の秘密の漏えいその他重大な事故の報告」 については以下のように規定されています。

  • 影響利用者 100万 以上の場合は 1時間 、影響利用者 3万 以上の場合は 2時間 以上の事故が発生した場合は 30日以内に「速やかに」 報告する義務が生じる
  • 電気通信役務の提供を停止又は品質を低下させた事故で、影響利用者 3万 以上 又は 継続時間 2時間 以上のものは 四半期毎に、2ヶ月以内に 報告する義務が生じる

これらの重大な事故が発生した場合は、指定された様式を用いて管轄の総合通信局または総務省に報告する義務が生じます。
電気通信事業者として認可されたということは、責任がついて回るということですね。

  1. あとがき

寄付金により Mastodon サーバー等を運営する場合、「電気通信事業を営む」ことに該当する可能性があります。これについては管轄の総合通信局または総務省にお問い合わせください。
また、届出するまでも大変ですが届出したあとの方がもっと大変です。2時間以上継続して発生した事故については報告の義務があることを忘れないでください。
ユーザーの皆様に安心して利用してもらう為に、寄付金を受け取って運営しているサーバーの管理者の方は届出をしたほうがいいかもしれません。
わからないことがあったら、管轄の総合通信局または総務省に問い合わせてみてください。丁寧に回答していただけると思います。

最後に、中国総合通信局の西田さんにお礼を申し上げます。電気通信事業に関する質問に対し、迅速かつ丁寧な返答を頂き誠にありがとうございました。


Nie(sha)

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